一般的には、固定費として取り扱われる人件費。これを変動費化する事で、損益分岐点を低く抑える事が可能となります。
損益分岐点が下がれば下がる程、利益を出し易く、潰れにくい経営体質になっていきます。
人件費の変動費化には、パート・アルバイトや派遣・外注(アウトソーシング)を上手に活用していく必要があります。
飲食店の計数管理
飲食業界では、パート・アルバイトの活用によって、「人件費の変動費化」を実施しています。
食材類の原価をF(フード)、人件費をL(レイバー)、総称としてFLコストいい、併せて変動費として取り扱います。
Fコストは、30%前後、Lコストは25%前後に抑えないと、一般的には、飲食店の運営は難しいと言われています。
一般的な飲食店
ここで一般的な飲食店のPL(損益計算書)を見てみましょう。
売上高 250万(100%)
原価(F) 75万(30%)
粗利益 175万(70%)
人件費(L)65万(26%)
貢献利益 110万(44%)
固定費 80万(32%)
店舗利益 30万(12%)
この店舗の場合、損益分岐点の月間売上としては、固定費80万円÷{1-(F)0.3-(L)0.26}=80万÷0.44=約182万円となります。
仮に客単価平均2,500円であれば、182万÷2500円=728人の集客がひと月に必要となります。
損益トントンに持っていくには、1日当たり24人の集客が必要という事が分かります。
町の中華料理店
そんなに流行っているようには見えないのに、潰れない中華料理店はありませんか?
これには、人件費の変動費化もそうですが、損益分岐点が著しく低いから、経営が成り立っている部分があります。
家族経営であれば、人件費も掛かりません。自宅兼用で、1階を店舗とすれば、家賃も掛かりません。
この場合の中華料理店の損益分岐点を試算してみましょう。
水道光熱費などは、一概に固定的ではありませんが、毎月、そこまで変動が大きくはないので、ここでは固定費とみなします。
原価率30%、固定費50万だと、損益分岐点は、50万÷(1-0.3)=約72万となります。
この場合の中華料理店のPL(損益計算書)を見てみましょう。
売上高 72万(100%)
原価(F) 21.6万(30%)
粗利益 50.4万(70%)
人件費(L) 0万
貢献利益 50.4万
固定費 50万
店舗利益 0.4万
仮に客単価平均2,000円であれば、72万÷2000円=360人の集客がひと月に必要となります。
損益トントンに持っていくには、1日当たり12人の集客が必要という事が分かります。
上記の中華料理店の場合は、家族経営だからこそ出来る部分もありますが、損益分岐点が下がれば下がる程、利益を出し易く、潰れにくい経営体質によって、そんなに流行っているように見えなくても、十分、経営として成り立つことが理解できます。