赤字と黒字の分岐点
損益分岐点とは、その事業(店舗や支店)をやって、赤字となるか、黒字となるかの境目となる売上を言います。
管理会計上、費用を「変動費」と「固定費」に分けることによって、その損益分岐点を求める事が出来ます。
損益分岐点の求め方
算式としては、損益分岐点=固定費÷(1-変動費率)となります。
例えば、1個当たり300円の原価が掛かる製品があり、それを1個当たり1000円で売るとします。
その製品を作るのに、毎月、固定費として、70万円発生するとします。
この場合の損益分岐点を試算してみましょう。
①変動費率を求める
300円÷1000円=0.3(30%)製品1個当たりの原価率
②貢献利益率を求める
売上100%から変動費率30%を差し引く。
100%-30%=70%(製品1個当たりの利益率)
③損益分岐点を求める
固定費70万÷(100%-30%)=70万÷70%=100万
100万の売上があれば、販売数だと、100万÷1000円=1000個、販売すれば、損益トントンとなります。
売上高 100万(100%)
変動費 30万(30%)
貢献利益 70万(70%)
固定費 70万(70%)
最終利益 0万(損益トントン)
必要な利益から逆算
損益分岐点の算式を活用すれば、必要利益に応じた売上高を求めることが出来ます。
借入金の返済や税金は、利益から支払います。基本的には、黒字でないと、税金は発生しませんが、借入れを起こして事業を開始している場合は、毎月返済が発生します。(赤字でも発生する税金もありますが、ここでは省略します)
例えば、先程の製品のケースで、毎月、借入金の返済が35万あるとします。
この場合、算式としては、(固定費+必要利益)÷(1-変動費率)で、借入金を返済するのに、必要な売上高を求めることが出来ます。
(70万+35万)÷(1-0.3)=105万÷0.7=150万を売上げれば、借入金の返済を滞りなく実施することが可能だと分かります。
販売数だと、150万÷1000円=1500個、販売すれば、収支トントンとなります。
売上高 150万(100%)
変動費 45万(30%)
貢献利益 105万(70%)
固定費 70万
最終利益 35万
借入返済 35万
最終残高 0万(収支トントン)
損益分岐点で経営意思決定
上記のように、損益分岐点を求める算式を活用することで、打つべき対策が見えてきます。
毎月、固定費がこれくらい、借入金の返済がいくらだと、売上がこれくらい必要となる。
単価が〇〇円だから、販売数としては、これくらい必要。
この数字だと現実的には厳しそうであれば、原価率(変動費率)をどうにか出来ないか、固定費を削減出来ないか、逆に、もっと広告宣伝費を掛けて販売数を伸ばせないか、はたまた初期投資を再考するなど、経営意思決定をする上で、欠かせないツールとなってきます。